介護施設経営

介護施設運営における「理念」の大切さ

 

こんにちは。

kekkeです。

皆さんの働いている介護施設には、「理念」というものが存在していますか。

施設長室や会議室や事務所のどこかに、額縁に飾られ、鎮座していたり、

単純に印刷されたものがテープで貼られてたり、

皆さんの働く介護施設のトップの方が、経営ということを、きちんと捉えられていれば、

きっと「理念」は存在し、施設内のどこかにあるはずです。

理念とは何か

理念とは、会社のトップが決める方向性や価値観、考え方、存在意義を指します。

別の言い方で、クレドやフィロソフィと呼ばれたりもします。

その会社で働く人々から見ると、行動規範となるべきものとなります。

事業運営において、理念がないということは、

人間で言えば

背骨が無い状態

である為、支えがなくフニャフニャでバラバラな状態です。

そのような事業所は、そこで働く人々がバラバラの方向を向き、

非常に生産性の低い状態となります。

また

「理念」がない

「理念」はあっても、共有化していない

はほぼ同じ状況であり、折角崇高な理念を掲げても、それを事業所内で共有化しなかれば、

全く意味をなさないものとなります。

私と「理念」

私の施設では、元々理念は存在していました。

トップである理事長が考えたものです。

正直私も今の立場になるまでは、あまり「理念」というものを、意識した事が無かったです。

ただマネジメントに行き詰まり、その突破口を開くため、多くの経営に関わる書籍を読んだ際に、「理念」や「理念経営」を大事にしている経営者がほとんどであることに気付きました。

松下幸之助さんや稲森和夫さんなど、名だたる経営者たち、その先人の知恵を借りる事、そしてそれをやってみる事から始めてみようと思いました。

そうしたら、今までは意識もせず、何も感じもしなかった理念が、キラキラと輝きだしました。

「うちの理事長、実はちゃんと良いこと考えてるんだ。」と。(理事長、ごめんなさい...。)

そこから「理念」「目標」の大切さ、そしてそれを実現させるための「事業計画」というものを、きちんと意識した経営、マネジメントのスタイルに移行し、現在では非常に良い状態の施設になっています。

なぜ介護施設に「理念」が必要なのか

そもそも事業経営において、「理念」というものは、非常に大切なものですが、

介護施設運営にとっては、更に重要なものと考えてます。

 

介護施設で働く人々は、ほとんどの人が「利用者さんの役に立ちたい」「利用者さんを笑顔にしたい」などの、

想いをもって働いてくれています。

それはそれで非常に良いことなのですが、この抽象的な想いが、集団や組織、事業所内ですれ違いを起こす場合があります。

 

そもそも「役に立ちたい」「笑顔にしたい」を実現する為の行動は、

対象者=利用者さん一人一人で違い、

更にはスタッフ一人一人の考え方、能力、価値観で変化していきます。

例えば

入所したばかりの利用者さんのZさんはいつも寂しそうにしています。

スタッフのAさんは、「まだ馴染めないのかな。ご家族に面会に来てもらった方が良いかな。」と思い、スタッフのBさんにそのことを相談しました。

するとBさんは「そんなことしたら余計寂しくなっちゃうじゃない。他の利用者さんと関わりを持ってもらう為、レクリエーションをしよう」と言います。

AさんもBさんも、Zさんのことを思ってくれており、どちらの想いも決して間違いではありません。

このようなことが介護施設では日常茶飯事に起きます。

今回の例題は、2つとも行ってしまえば、良いかと思いますが、そうできない時ももちろんあります。

介護の現場は、判断基準や正解が、この上なくあいまいな場所です。

そんな時には、どちらかの想いを一先ず優先しなければならず、

その結果、叶わなかった想いの持ち主は、何となく寂しい気分になります。

折角誰かの為に思ったことが、何故だか自分の寂しさに繋がるのです。

そしてその寂しさが、知らぬ間に少しづつ蓄積し、介護という仕事に対してのモチベーションが下がってきます。

 

私はこの介護施設だからこそ起きる負の現象を、介護施設運営を妨げる1つの壁だと思っています。

優しい人々が集まるからこそ生じる歪みという矛盾。

 

そのようなことをなるべく起こさないようにするために、

「理念」というものを活用していければ良いのです。

「ものさし」としての「理念」

先ほどの例題、AさんとBさんの想いに対し、どちらが正解かを決めるのは、難しいと思います。

ただ事業所において「理念」というものがあれば、それを「ものさし」にして、どちらの想いがより事業所にとってベターかは決めることが出来ます。

そもそも「理念」というものが、事業所で働くスタッフ全員に共有されていれば、その事業所にあった想いを持つ事も可能になってきます。

例えば

「ご利用者・ご家族に最大の安心を」という理念があった場合、

先ほどのAさん、Bさんの想いどちらを叶えるかは、家族の面会を考えたAさんの想いの方になるかもしれません。

Aさん、Bさんの想いを、直接ぶつけ合うような形にしてしまうと、Aさん、Bさんの関係性にも小さな傷が出来てしまうかもしれませんが、間に「理念」があれば、「どちらも甲乙つけがたいけど、うちの施設の理念に合うのはこっちだよね」と「ものさし」的効果を発揮すると共に、クッションの役目も果たしてくれます。

そしてその沢山の積み重ねが、その介護施設の風土となり、更なる理念経営・理念運営を可能とします。

「理念」の共有化

では、スタッフ全員で「理念」を共有化するにはどうしたらよいか。

私の施設では、毎日朝礼時に、私の号令の下、「理念」「目標」「行動方針」の読み上げをしています。

また豪勢に見える額縁に飾られた「理念」を、事務所やフロアのサービスステーション等に飾ってあります。

そして新人スタッフが入職した際には、何故「理念」が大切なのかということを、上記に記載した内容と共に、沢山の根拠を示す情報や資料を使い、私自身が講師として研修を行っています。

読み上げや額縁に入れた理念だけをイメージすると、物凄いブラック企業的な匂いがしてくるかと思いますが、怒号のように読み上げたりはしませんし、丁寧に分かりやすく伝える事を心がけてます。

理念の内容だけを伝えるのではなく、「理念」というものの本質的な大事さを伝える事が何より重要ですし、一方的な押し付けにならないようにすることが必要かと思います。

最後に

「理念」を読み上げたり、意識したりすることは、結構気恥ずかしいです。

ただ管理者レベルが恥ずかし気もなく、伝えられるようにならなければ、その部下たちはいつまでも気恥ずかしい思いをしてしまいます。

暑苦しすぎるのも嫌がられるし、かと言ってサラッと流すようだと、誰も意識をしてくれません。

「理念」とは介護施設運営において、非常に重要ですが、その扱い方のバランスは非常に難しいものでもあります。

「理念」を上手く活用して、一緒に良い介護施設を作っていきましょう。

おすすめ記事一覧

-介護施設経営

© 2024 カイゴのみちしるべ