こんにちは。
kekkeです。
今日は介護施設経営における事業計画の大切さをお話したいと思います。
事業計画って?
そもそも事業計画って何と思われる方も多いかと思います。
管理者レベルであれば、もしかしたら策定まで関わっているかも知れませんが、介護現場の末端まで、事業計画が知れ渡っている介護施設は、一握りではないでしょうか。
事業計画とは、言葉そのまま事業の計画のことで、介護施設で言うならば、その施設がどのような介護をして、どう収益を出していくのかを計画するものです。
事業であれば、どの業種でも必要なもので、特に銀行に融資を受けたりする場合には、必ず必要なもので、実用性はどうあれ、どこの介護施設にもあるものだと思います。
本来であれば、事業計画ありきで、その事業は進んでいくものですので、その計画自体が現実とそぐわないものだったりすると、すぐに形骸化しますし、まず間違いなく現場までの浸透は難しいと思います。
事業計画と介護現場
事業計画は、目標となる数字を立てて、それを実現するために計画を策定するものです。
そして介護現場は数字というものと、非常に相性が悪い事実があります。
数値化、定量化することが、非常に困難だと思い込んでしまっているのです。
Aさんというご利用者様の状態が良くなったとして、誰が何をどれだけやったのかが、非常に分かりづらく、個人個人が結果にコミットするということが、中々難しい状況が現場にはあります。
そしてもしそれがハッキリしてしたとしても、それがお金に変わるということにおいては、盲目的な感じになってしまいます。
だからこそ数字やお金がちらつく事業計画というものに、どちらかというと嫌悪感を抱いてしまう介護現場が多いのではと思います。
それでも事業計画は必要なの!?
そもそもその性質から相性の悪い事業計画と介護現場。それなのに、必要なの!?と思われる方も多いのではと思います。
それでも必要なのです。介護施設、介護現場だから必要なのです。
介護施設には、「誰かの支えになりたい。」「誰かの力になりたい。」「困っている人を助けたい。」というような想いを持った方々が集まります。
それは介護施設における強みの部分でもあるのですが、逆に弱い部分でもあります。
同じような想いを持つことは良いことで、一見同じ志を持つ仲間が集まった素敵な組織と思ってしまいそうですが、思いと行動は裏腹で、あの人はこう、この人はこうと、全く別の行動をとってしまうことが多々あります。
それぞれが誰かを支えようとして、支えかたが違うから、逆に不安定になってしまうのです。
理念と事業計画
そこで理念が必要になってくるのですが、それは別の形でお話しておりますので、そちらを参考にしてください。
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理念はものさしです。その正確なものさしを事業計画で形にしていく必要があります。
だからこそ理念と事業計画は、同時に浸透させるのが大切になってきます。
それができれば、結果的には、介護現場で、想いが強いが故に、その人同士が潰し合うようなことが減り、現場からのボトムアップによる事業運営が可能となります。
理念と事業計画は、
介護施設運営における背骨であり、
とても重要なのです。
事業計画の作り方
まずは理念を実現させる為に、何が必要か、何をすべきをを明らかにしていく必要があります。
職員からの聞き取りから、材料を揃え、分析をします。
分析については、TOWS分析、SWAT分析を元に行います。
自施設の良い所、悪い所、地域の状況、顧客層など集められる情報は全て集めて、導き出していきます。
この作業は、漫然と運営していた状況から、脱却を図るために、自らを一度振り返る作業にもなり、その後の弾みに繋がります。
きっとその作業の中で、稼働率向上にも役立つ、施設のウリも見つけることが出来ると思います。
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施設のウリや問題点などが浮き彫りになれば、あとはそれを広めていく、改善する策を考えていきます。
これが介護施設の事業計画の骨子になります。
事業計画の構成
①はじめに
事業計画を策定する中心人物が、なぜ事業計画を立てるのか等、職員全員に語りかけるよう、自己紹介みたいな感じで書きましょう。
②現状の振り返り
現状について、収支などの数字の部分と、現場などの状況についてを記載していきます。
数字の部分は、売り上げと稼働率など簡単な部分を過去3年分ほど表にまとめると良いかと思います。
ただ現場の状況については、書き方と間違えると、反発を生んでしまいますので、注意が必要です。
直接的な指摘をするのではなく、あくまでも全体的な状況として記載し、「確かにそうだな。」と現場の職員にも共感できるような感じにしていくといい思います。
③SWAT分析、TOWS分析
分析の結果をそのまま載せてしまうのが良いと思います。
SWAT分析により、自施設と周囲や環境の現状理解ができ、それを踏まえた上でTOWS分析により自施設の強み、弱みの把握ができる為、非常に分かりやすいです。
そして何より、事業計画が、誰かのエゴや主観で立てているものではなく、きちんと分析した上で、根拠を持って作られている証拠になります。
これは施設内での浸透の際に非常に役立ちます。
④課題の抽出、目標設定(キャッチフレーズ)
次にSWAT分析、TOWS分析で見えた課題を抽出します。
課題は良い点を更に伸ばす課題と、悪い点を改善する課題の両視点で抽出します。
あまり量が多くても、抱えきれないと思うので、最大5つ位に絞ると良いかと思います。
そして目標設定を行い、職員全員で共有しやすいキャッチフレーズを作りましょう。
これはできる限り具体的にして、達成したか、していないかを分かりやすくした方が良いかと思います。
⑤実施事項
抽出した課題に対して、行うべき実施事項を書いていきます。
この際、誰が何をいつまでに行うということを、できるだけハッキリとしておく方が良いと思います。
一つの課題に対して、実施事項が一つとは限りません。
一つの課題に対して、実施事項が5個以上になることもあるかと思います。
できる限り具体的な行動を記載するようにした方が良いです。
⑥最後に
今までの記載内容を振り返りながら、はじめにと同じように、事業計画への理解を職員全員へ促すようなメッセージを記載すると良いと思います。
事業計画の浸透
事業計画が出来上がったら、必ず職員全員に浸透させましょう。
前出のように、事業計画と介護現場は相性が悪く、水と油のような関係なので、どんなに良い事業計画を立てたとしても、最初は反発が生まれる場合もあります。
ただそれはあくまで介護現場のことを何も考えずに立てられた事業計画であるならば、しょうがないことですが、上記の形で事業計画を立てれば、職員のうち何名かには、絶対に響いているはずです。
その職員達は、その事業計画を実現するための味方になってくれる可能性が高いです。
そしてそのような職員が徐々に増えていくと、介護施設運営は良い軌道に乗ってきます。
最後に
この文章を見て、事業計画を立ててみようと思って下さった方々に、ぜひ知って欲しい言葉があります。
「計画の成就は不屈不撓の一心にあり ただ想え、気高く、強く、一筋に」
この言葉は、多くの経営者に影響を与えた、中村天風さんの言葉になります。
事業計画を浸透する際、気恥ずかしさがあったりもします。
しかし声高らかに、理路整然と言い続けることが、管理者、役職者としては必要になります。
ぜひこの言葉を胸に、良い事業計画を立案し、職員へ浸透させてみてください。
間違いなくあなたの施設は良い方向に進みますよ。